2人が本棚に入れています
本棚に追加
「馬鹿みたいだろ、こんな相談。漫画家を目指していたって、本物のヒーローにはほど遠くて、うんざりする」
「そう愚痴をこぼすなよ」
アイスコーヒーの氷をかき混ぜながら、一成は提案した。
「爽太って呼ばせればいい。それを決められるのは誰かじゃなくってお前だろ、爽太」
「そうは言うけど……僕もそんな風にさらりと返せたらいいのにな」
肩を落とした僕に気づいたのか、一成が今までの友情を語ってくれた。
「大体さ、俺なんかと長年付き合っている時点で、相当メンタル強靱だぞ。俺は目つきがムカつくって不良によく絡まれるし、巻き添えになったこともあっただろ。中学なんて爽太がいなかったら友達ゼロだって」
「いや、一成は僕にとって一番身近なヒーロー像だし、そうは思わないんだけど」
僕の言葉に、「お前、やっぱり変わってんな」と一成は何だか分からないため息を漏らした。目立つ特徴は欲しいけど、変人と言われるのはちょっと嫌だ。
最初のコメントを投稿しよう!