2 復讐代行者

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 二人でメールを確認し、心から喜び合う。  さっそくデートの時の服装を決め、髪をセットし、化粧も軽くする。  濃い化粧をしてしまうと、逆に引かれててしまう可能性がある為、ナチュラルが一番という友恵のアドバイスだった。  春なので少し肌寒い。肌の露出も控えた方がいいだろうということで、下はひざ丈くらいのスカート。上は、花柄の長袖シャツ。  カーディガンを羽織り、髪はハーフアップ。白いリボンを付けて、準備は出来た。  デートに出かける四季を友恵は、いつもと変わらない笑顔を浮かべて見送った。  こんなに喜んでくれていた友恵が、まさか自分を裏切るなんて思っていなかった四季は、憎悪、怒り、悲しみ……。  どの感情なのか、それともすべてか。  半年付き合った彼から「君の親友が好きになった」と言われ振られてしまい、負の感情に押し潰されそうになる。  本当に、突然だった。  何の前振りもなく、なにも違和感はなかった。  なにも、気づかなかった。  振られた次の日、友恵は結城と共に過ごしていた。  楽しそうに笑っていた。  頬に手を添えられ、友恵の顔は赤く染まる。  恋をしている顔を、浮かべていた。  昨日までは、自分がそこの立ち位置だった。  自分が、その手に触れていた。  自分が、彼と一番近かった。  なんで、そこまで急接近したのか。  今までそんな素振りすら見せなかったのに。  見ているのも辛い。でも、気になる。  なぜ、振られてしまったのか。なんで、親友だと思っていた友恵に取られたのか。  そんな時、友恵の話をしているクラスメイトの話が耳にはいった。 「ねぇ、友達の彼氏を奪っておいて、普通あそこまで堂々とイチャイチャ出来るもの?」 「普通出来ないよね。でも、奪われても仕方がないよねぇ」 「噂が本当なら、ねぇ」  そんな話が聞こえ、四季は目を微かに開く。  ――――奪われても仕方がない?  なぜ、そんな事を言われないといけないのか分からない。  自分は、何もしていないのに。  そんな気持ちに駆られ、感情のままに席を立ちあがろうとしたが、まだ話しは続いており、動きを止めた。 「でも、まだ一日二日だよね? なんであんなに距離が近くなれるんだろう。もしかして、白井君、浮気していたのかなぁ?」 「あり得るねぇ~。結構、女癖悪いっていう噂だし。もしかしたら、浮気中にやることやっていたんじゃない?」 「うわぁ。げすいねぇ」 「ねぇ~?」  噂話を楽しむ二人は、四季が聞いていたことに気づかない。  そのまま話題は、違う話に切り替わる。  立ち上がろうとした四季の手は、机の上から膝に戻る。  ――――そっか、私は、弄ばれていたんだ。友恵も、私の彼氏を寝取ったんだ。だから、あんなにも仲睦まじいんだ。  そう思うと、心臓が締め付けられ息が苦しくなる。  体が熱くなる感覚が湧き上がり、恨みで充血した目を二人に向けた。  ――――許せない。  そんな感情のまま授業をさぼり、ふらふらと当てもなく歩いていると、陰影累(いんえいるい)と名乗る男性と出会った。
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