ピンク頭と不都合な真実

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「わたくしごときでお役に立てるか存じませんが、できるだけお手伝いをいたしますわ」  エステルのイジメについて協力をお願いすると、人の好いオピニオーネ・プブリカ嬢はすぐに快諾してくれた。 「ありがとうございます。彼女は『おおごとにしたくないから証拠はいらない。みんなの前で謝ってくれればそれで良い』と言ってますが……こういう事は大勢の前で感情的につるし上げて無理やり謝罪させると、かえっておおごとになってしまうものなんです」 「たしかに。アハシュロス公女は隣国ダルマチアをはじめ他国の王族とも縁続きですものね。公の場で恥をかかせたとなれば、国際問題になりかねませんわ」  ありがたいことに、詳しく説明しなくても僕が何を懸念しているか悟ってくれたらしい。  プブリカ嬢は形の良い眉をひそめて心配そうにため息をついた。 「おっしゃる通りです。こういうことは、法的に手続きしてお互いに禍根を残さないよう処理した方が、結果的には穏便に済むものなんです」 「なるほど、王都の治安維持を担う警邏(けいら)騎士のポテスタース卿がおっしゃるなら、きっとその通りなのでしょうね」  殿下と違って物わかりの良いプブリカ嬢は、素直にうなずいてくれた。
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