ピンク頭と黒い疑惑

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 やはり地道に証拠を集め、エステルの悪行もしくはアハシュロス公女の無実を疑いようのない状況を作るのが何より重要だ。  幸いなことに、殿下から「エステルへのイジメの証拠集め」を命じられたばかり。それを利用して彼女の言動を記録して「疑いようのない証拠」を残すのが手っ取り早い。  ふと、以前彼らとの会話が脳裏をよぎった。 『そんなイジメがあるならきちんと証拠を集めてアミィを訴えるべきだな』  そんなことを言いだしたクセルクセス殿下に対して、エステルはヒステリックに反応した。 『そんなっ……あたしはただ謝ってくれればいいだけなんですっ! それに訴えたって、相手は公爵令嬢ですよ? 警邏隊も裁判所も相手にしてくれるわけないですっ』 『大丈夫。記録球で現場を撮れば言い逃れできないから』 『教科書やノートを買いなおすお金も馬鹿にならないし、この間なんて一着しかないドレスを破かれたんだろう?』 『あたしはおおごとにしたくないんですっ。恨まれて仕返しとか怖いですぅっ』
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