ピンク頭と不都合な真実

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ピンク頭と不都合な真実

 昼休み、僕はオピニオーネ・パブリカ伯爵令嬢に会いに新聞部の部室へと向かった。  部室のドアをノックすると、大きな丸眼鏡が印象的な少女が顔を出す。新聞部部長のオピニオーネ・パブリカ伯爵令嬢だ。  マロンブラウンの髪をきっちり編み、後頭部でまるい輪のようにして留めていて、どこかプレッツェルのようなヘアスタイル。 「ポテスタース卿、新聞部へようこそ。貴方がこちらにいらっしゃるのは珍しいですね」  眼鏡の奥のヘーゼルブラウンの瞳を瞬かせながら僕を招き入れたオピニオーネ嬢は、あちこちに散乱している原稿や資料をどけて座れるスペースを作ると、ソファを勧めてくれた。 「実はパブリカ嬢にお願いしたいことがあるのです。少しお時間をいただけますか?」 「わたくしがお役に立てるなら喜んで」  嫌な顔一つせずに快諾してくれるオピニオーネ嬢は容姿こそ地味だが温かみのある人柄で、困っている人を見過ごせない面倒見の良さで人望がある。  ちなみにご実家は新聞社を経営しておられて、彼女自身も休みの日は家業を手伝っているようだ。
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