ピンク頭と不都合な真実

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「それに、具体的な証拠もなしに問い詰めても相手にしらを切られてはおしまいですし。そこで、彼女に内緒で証拠集めとしてイジメがありそうな場所に記録球を仕掛けているのですが、男性である我々では入れない場所もあって困っているのです」 「確かに、ドレスを破かれてしまった女子更衣室などは殿方では入れませんわね」 「はい。ですから、そういった女性にしか確認できないところに記録球を仕掛けることをお願いできませんか?もちろん、内容はパブリカ嬢がご確認の上、私どもが拝見しても差し支えないものだけ渡していただければ」 「そのような事なら喜んでお手伝い致しますわ。これでエステルさんへのイジメがおさまれば本当に良いですね」  ニコニコと笑顔で引き受けてくれるオピニオーネ嬢の顔を見ると少しだけ良心が痛む。素直なこの人は、実はエステルが男性にチヤホヤされたい一心で他人を陥れて悪役に仕立て上げ、被害者アピールでみんなの気を惹こうとしているだけだなんて、想像すらできないだろう。  エステルの事を微塵も疑っていないこの人を利用して、エステルの悪事を暴こうというのだ。事実を知ったらこの善良な人はきっと悲しむに違いない。  後でちゃんとフォローしなければいけないな。
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