ピンク頭と捜査開始

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「ヴィゴーレ・ポテスタース。お前は犯罪を取り締まり、王都の治安を守る警邏(けいら)師団の騎士なのだろう?」 「はい。13の春に叙勲していただいてから、ずっとこの王都の治安維持に携わらせていただいております」 「ならば、エステルに嫌がらせをしている犯罪者をさっさと捕らえて処分してしまえんのか。職務怠慢だぞ」   卒業間近のこの時期に面倒な……この時期はただでさえ学園内に部外者の出入りが増えて警戒しなければならないうえ、このところ隣国との関係が芳しくない。  そのせいか、卒業記念パーティーで何らかの破壊工作が行われると言う噂があるのだ。  とは言え、貴族の子弟が原則として通う事になっているこの学園で、本当に窃盗や器物破損などの不法行為がまかり通っているなら大いに問題だ。事実関係を調べる必要はあるだろう。   「かしこまりました。しかし、エステルは証拠などの捜査を嫌がっていましたが……こちらで捜査を進めてしまって構わないのですか?」    捜査自体には異論はないけれど、エステル本人がやたらと証拠集めに消極的……いやむしろ拒絶反応を示していたのが気になっている。後で彼女が文句を言い出した時に僕のせいにされてはたまったものではない。  捜査があくまで殿下の指示によるものだという事実を残しておかないと。   「エステルは優しいからな。事を荒立てたくないそうだ。卒業記念パーティーでみなの前で謝罪すればそれで良いと言っている」  えっと……正式に捜査するより、証拠もなしにパーティーで謝罪を要求する方がはるかに事を荒立てる気がするんだけど。  アハシュロス公女はこの国のみならず、隣国王家の血も引いている。  そんな人を公衆の面前で責め立てて謝罪を要求するなんて……下手すれば外交問題なんだけど、わかっているのかな?  僕が内心そう思っていることにはまったく気付かず、クセルクセス殿下は得意げに一人語りを続けている。
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