ピンク頭と捜査開始

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「しかし、この神聖な学び舎でこともあろうに王太子であるこの俺の親しい友人が理不尽ないじめにあっているのだ。犯人を見つけ出して厳しく罰さねば、王家の権威に関わるだろう? どんな手段を用いても必ずや真犯人を見つけ出すのだ」    う~ん、やっぱりわかってないみたい。  ここは早めに事実関係を調べておいて、上司に報告して内々にしかるべき対処を取るべきだね。   「それではこちらの念書にサインを。学園内はある程度の自治が認められているので、傷害などの重大犯罪に発展しない限り、警邏(けいら)隊は介入できない決まりになっているのです。僕自身が警邏(けいら)の所属ですので、殿下の直々の命令により個人的に動いているという証拠がないと、学園と軍の間に要らぬトラブルが起きかねません」    そう。「学校」というものにつきものの閉鎖性はこの学園にも存在して、学問の自由やら学園の自治やらを盾に、よほどのことがない限りは外部からの介入を嫌うのだ。  したがって何かトラブルが起きた時のために、指揮命令系統と責任の所在を明らかにしておく文書は必ず必要になる。   「なんだ、面倒な。つまらない役人のような事を言いおって……下らない」 「すみません、僕、下っ端の軍人なので。こういう事務的な手続きはとても大事なんです。殿下だって王家と軍がもめるのは困るでしょう?」  本来は公務を数多くこなさねばならないはずの殿下がこういう書類仕事の大切さを理解していないのは意外というか、まずい事態だと思うんだけど。  幸いなことに、文句を言いつつも殿下は書類にサインしてくれたので心置きなく証拠集めに取り掛かれる。    後はどうやって集めるかだけど……今回はあくまで殿下の個人的な命令ということだから、部隊の力を借りるのはやめておこう。  まずは協力してくれそうな人に相談するしかないかな?  僕は学内で協力してくれそうな人を何人か思い起こしながら教室に戻ることにした。
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