僕、あの人のことが好きかも?

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僕、あの人のことが好きかも?

 そんなことを言われながらも、薙は自分の家へと帰宅してくると、布団へと横になって天井を見上げる。  今日は休日で大学は休みだ。 だから久しぶりにゆっくり寝られる日でもある。  だが今日は横になってもなかなか睡魔が襲って来ない。  いつもならバイト終わりに大学に行くと睡魔が襲って来る筈なのに。  今日は休みだからであろうか。 だから睡魔が襲ってこないのであろうか。  人間、休みという日は遊んでいたいと思うもの。 だけど薙には友達と呼べる人はいなかった。  今年地方から出て来たばかりの薙。  地方から出て来て大学に入って、ただただバイトと大学を行ったり来たりの生活。  遊びに出かけない分。 貧乏学生には丁度いいのだが、つまらない毎日を送っている。 確かにアップダウンの激しい人生を送るのは大変だけど、ただ平坦な生活を送っているのもつまらないような気もする。  薙が天井を見上げているとフッと頭に出て来たのは、いつもコンビニに来るホスト風の男性だ。  この前初めて声を掛けられた。 そして次に声を掛けられた時にはバイトが終わる時間を聞かれた。 それから何故かそのホスト風の男性は三時ではなく朝の六時位にコンビニに来るようになったのだ。  そしてさっきは「俺に気があるのか?」と聞いて来た。  そこで、薙はよくよく考えてみる。 「……って? それって、どういうこと!?」  そう言うと上半身を起こす。  確かに薙はそのホスト風の男性のことは気に入っているというのか、ハッキリ言ったら好きだ。 だがもう何年も恋をしていない薙は恋心というのは忘れているのかもかもしれない。  それと同時にその男性のことを思い出した途端、忘れかけていた恋心を思い出したようだ。 「そうか……忘れてたよ……。 僕が恋したのは小学校六年生の時で、それからは、もう、恋なんかしないって決めてたから忘れていたのかもしれない。 そうだ! 今の僕はあのホスト風の男性のこと、気に入っているではなくて、好きなのかもしれないなぁ。 でも、あの人は僕のことはどう思ってるのだろ?」  確かにその男性は薙に対して色々と聞いてきた筈だ。 だけどそれは本当に薙のことが好きだからであろうか。 そこはまだ定かではない。  もしかしたらただ薙の思い違いかもしれない。  それなら今日は思い切って、バイトの帰りに聞いてみようと思った薙は、とりあえずバイトの時間まで寝ることにしたのだ。
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