六月病

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 僕たちは命を食べ、生きている。命を食べない限り、生きていくことはできない。まともに食べなければ精神が削られ、ストレスにも影響を受けやすくなり、そして自分の命が削られ続けていく。最終的にどうなるかは言うまでもないだろう。  買ったサラダチキンを一口、小さくかじる。今日も僕は命を食べている。 「(すい)! おっはよ!」  後ろから思いっきり叩かれて、僕は食べていたサラダチキンを口から吹き出しそうになる。何とか堪えて、後ろをギロッと睨んだ。(りん)が「おっと……」と言いながら僕から離れる。 「そんなに強く叩くな。一生懸命食べてるんだから」 「ごめんて」  僕は再び前を向いてサラダチキンをかじる。 「どしたん、ほっぺ」  凜が僕の左頬に貼られている大きな絆創膏を見て、目を瞬かせた。 「ベッドから落ちた」 「お茶目だなぁ。本当に彗はいっつも怪我ばっかしてんだから。もう少し周りに注意しないといつか死ぬぞー」  ハハッと無気力な笑い声をあげた。「かもなー」  隣で凜がふわぁっと欠伸をする。一限は早い。遠方から来ている僕たちは大学の近くに住んでいる奴らとは違って早起きしないといけないから、余計眠かった。 「てか朝から人身事故って……やめてくれよなぁ。振替輸送は普通にだるいし、遅刻だし。朝からやる気なくしたわぁ」  凜の一言に、僕は彼を一瞬見たが特に何を言う訳でもなくまた前を向いた。
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