最高峰

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最高峰

 私の人生の最高峰は間違いなく、高校の国体少年女子の部で長野県チームが優勝した瞬間だろう。  それまで団体戦での全国優勝は、強かった姉の代でも成せなかったので、とても嬉しかった。  まして、私は団体戦の中でも全勝で、優勝に貢献できた。  もともと3番手の私だが、異質ラバーを使っているので相手のエースが異質ラバーを苦手とする場合は私がエースに当たるのだ。  それで勝てばよし。負けても、我がチームのエースたちが相手の他のメンバーに勝つという算段だった。  その国体の時の私は強かった。相手のエースもなぎ倒し、卓球雑誌に特筆された。  でも、最高峰になるまでには長い長い気の遠くなるような時間の練習が必要だった。  最高峰の後は、ダラダラと下り坂。中学校で膝の靭帯を切っていて手術も治療も受けていなかった私は大学や実業団からは声がかからなかった。  弱い大学に入り、大学リーグの3部から1部に上げてくれという要望でようやく拾って貰った。  条件はクリアした。卒業時には常に1部に居られるようになっていた。  大学を卒業した後、私は最高峰を味わった卓球をやめた。  山を一つ降りたのだった。
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