一回目②

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一回目②

 振り返った義母は僕の声に気付き、僕の方向に振り返った。と同時に義母の横から車のヘッドライトが顔を出した。  その時でさえ義母はポーカーフェイスを貫いていた。 「あっ」 僕がそう言っている間に、 ドンッ。 いつもの調子だったら、「なんで、周りの車も見ていないのよ」と言われる場面だった。しかし、横断歩道の上で横になった義母の身体からは、もう魂が抜けていた。  僕は自分の顔を手で覆った。僕のせいで人が死んでしまった。しかし、しばらくすると、不謹慎だが頬が緩んできた。僕に嫌がらせをした女である。そのうち、心の中を快感が、罪悪感を押しのけて占拠した。  僕のせいでこの憎い女は死んだ。つまり、僕はこの女を殺した。しかし、僕は罪に問われない。その時信号無視をした、車が悪いことになるのだ。  あぁ、快感。僕はこの感覚を忘れることができなかった。  そして、その後僕は、何人も何人も人を殺した。
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