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確かにドレスの胸の開き具合はルビーよりも控えめにしてあるとはいえ、ルビーと色違いのペールブルーのドレスを着たメイジーは、落ち着いた雰囲気のせいか一八歳よりも年上に見える。
初対面の人に、メイジーが姉でルビーが妹だと勘違いをされるのはそのせいだ。
活発で好奇心旺盛のルビーは、コミュニケーション力を活かして他の生徒たちから流行や社交界の噂話などの情報を聞き出すのが上手い。
情報を網羅したルビーはいつも生徒たちの中心で、ルビーに気に入られたくて近づく生徒が、また秘密の情報をルビーの耳に入れるので、貴族社会の出来事でルビーが知らないことはないのではないかと噂されていた。
「ねぇ、メイジー。いつも思うのだけれど、あんまり考え込んでばかりいると、眉間に皺ができちゃうわよ。この学院も五月に卒業だから、あと残り二か月ほどしか自由な時間はないわ。卒業したらすぐに結婚市場のサロンやパーティーに繰り出して、良い殿方に見初めてもらわないと、売れ残って一生肩身の狭い思いをすることになるの。だから、もっと今を楽しみましょう」
「ルビーみたいになんでもうまくこなして、生徒からも先生からも一目置かれていたら、私だって毎日が楽しいと思うわ。でもね、こうして鏡越しに見ても二人の差は歴然としているわ。ルビーが油絵なら、私は水彩画みたいに薄くて存在感がないの」
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