プロローグ

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「あら、私みたいに目立つ女でいたいとみんなが真似をするから、水彩画の清楚さが際立つのよ。メイジーはメイジーでいいの。あなたの女だてらに経済や数字に明るいところもすごいと思うし、謙虚だけれど負けず嫌いで努力家のところも大好きよ。それでも自分を卑下しちゃうのなら、私を演じればいいわ」 「ルビーを演じる? それってルビーになりきって仕草や言葉の言い回しを真似するってこと?」 「そうよ。いつも一緒にいるのだから簡単でしょ。私はなりたいもののイメージを頭に描いて、それに近づけるように行動するの。最初から私は今のルビーだったわけじゃないわ」  わかった? とルビーが微笑みながら、目で問いかける。ルビーの説明は明確で、メイジーは思わず頷いていた。  メイジーから見ると、ルビーはいつもみんなの先に立って行動する先駆者だ。ルビーの場合は、そばに見習う人物がいないため、自分でイメージを膨らませて、それに向かって努力を惜しまないというのだから、尊敬に値する。 「みんなに受け入られるかどうか分からないのに、率先してイメージを実現化するのって、すごく勇気がいると思う。それに比べたら、目の前にいるルビーを真似ることなんて、簡単に思えるわ」 「そう、そう、その意気よ。でも、自分が誰よりも一番でいたい人にとっては、私の存在は目障りでしかないの。真似するのはいいけれど、従妹のザラみたいに、プライドが高くて粘着質な人に目を付けられないように気をつけてね」
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