第二十話 銃撃と爆破

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 暗闇から、白い粉の受け取り人が遅れてもう一人現れた。勲と俺は茂みの中で息を殺しながら静かに手元のライフルのボルトを引き、そしてまた静かにそれを戻し、弾を装填した。  スコープ越しに覗く百メートル先の彼らは、マッチ棒くらいの大きさにしか見えなかった。もっと高倍率のスコープが必要だったと思ったが、贅沢も言っていられなかった。 「よし、来たぞ、源治、お前は右のを殺れ、俺は左を殺る。そいつが船の手すりを越えた瞬間に同時射撃だ……」 ドスッとぐぐもった音がほぼ同時に二回、静かに響いた。そしてその瞬間、その小さな漁船に乗る二人は声もなく倒れた。 「勲。行くぞ」 俺の手にはライフル、背中には更に大型の対物ライフル、そして腰には拳銃を引っさげてその船まで走った。百メートル程だった。俺がその船に飛び乗った時には、勲はまだ足を引いて道半ばだった。 「おい、勲、早くしろ!」 「分かってる、大声出すな」 勲も船に乗った。 「全く、その杖、こんな時には邪魔だなあ……」 「そう言うなよ源治、これはずっと愛用しているもので、思い入れがあるんだよ」 そう言うと、ぎこちなくその手元にライフルと杖を抱えた。腰には拳銃、背中にはRPGを背負っている。
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