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セミオート射撃で十発打ち切った。船縁を利用した依託射撃だったが、バンバンと撃つ度に、その十三キロの鉄の塊は俺の肩を震わせた。その何発かはプロペラ機の胴体にあたり、その機体は白い煙を上げながら徐々に高度を落としていった。
「源治! まずいそ、あいつ、旋回して逃げるぞ!」
そのプロペラ機は高度を落としながら、陸風に押し返されつつもジャングルに向かって飛行を続けた。
「源治、逃がすな! 船を飛ばせ!」
「分かってる!」
俺は船を飛ばし、向かい風の空気抵抗を受けつつも失速しながらヨロヨロと逃げる機体を追った。勲は飛び跳ねる船にしがみつきながら、何とかRPGの信管を引き抜き、狙いを定めた。
「ダメだ、源治! 弾が届かない! もっと近づけ!」
「うおおおおお!」
俺は雄叫びを上げていた。船は全速力、海岸線はもうすぐそこだった。そして、その漁船が海岸に乗り上げた瞬間だった。勲はRPGのロケット弾頭を発射した。その無誘導の弾頭は飛行機雲のような煙を上げながら放物線を描き、既にジャングルの上空にさしかかったプロペラ機に着弾し、爆発した。その閃光は海岸線を照らし、爆音は腹の底まで響いた。
砂浜に乗り上げた漁船の上で、勲と俺は抱き合って雄叫びを上げた。そして、勲は平岡に電話をした。
「派手にやってやったぞ! 迎えを頼む!」
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