第二十一話 急襲

1/7
前へ
/154ページ
次へ

第二十一話 急襲

 その夜、アジトに戻って皆で祝杯を上げた。真美と春菜はオレンジジュース、男たちはテキーラを楽しんだ。 「やったな源治! 作成は大成功だ!」 「ああ。これで奴らは相当な痛手を負っただろう。勲のトドメの一撃、正直当たるとは思わなかったぞ、大したもんだ!」 「お前こそ、あの船の揺れの中で飛行機を狙撃したんだ。大したもんだよ」 お互いに武勲を称えた。そこに平岡も入って来た。 「それにしても、猪熊さんと右京さん、良いコンビじゃないですか! 脱帽ですよ!」 「良いコンビだ? 腐れ縁だ!」 勲と俺の声がシンクロした。二人は顔を見合わせて笑った。そんな中、女性ふたり、つまり、真美と春菜は浮かない顔をしていた。 「源治、水を差すようで悪いんだけど、きっと仕返しされるわよね……。正直、怖いわ……」 「真美さん、そりゃ心配だよな。俺が代わりに答えよう」 ショットグラスに入ったテキーラを一気に飲み干した勲が言った。 「まず、安心して欲しいのは、俺たちの事はバレてねえ。そうすると、鮫島はバイヤーに裏切られたと見て、仲違いをするだろう。こちらに火の粉が降りかかる事はないだろう」
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加