第二十一話 急襲

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「私、戦う!」 決意に満ちた表情で、確かにそう言った。周囲が静まり返る中、春菜が続けた。 「修輔とミーちゃん、それに死んじゃった沢山の仲間の仇を討ちたい。お父さん、私も戦う!」 「春菜……。さすが俺の子だ……」 俺は言った。 「でもダメだ。気持ちは分かった。その気持ちは胸にしまっておけ。そして、強く生きろ!」 春菜はうつむき、それ以上何も言わなかった。  それから何日か、平和な日々が続いた。そのアジトは、他の麻薬カルテルの連中と同様に、驚くほど堂々とした佇まいの豪邸で、驚くほど開放的な空間で、五人で住むには十分過ぎるほどの広さだった。 「源治、これを見て」 真美がパソコンを持って来た。 「猪熊さんが言ったとおり、鮫島がバイヤーと商談を行うらしいわ。場所はグアダラハラの日本食レストラン」 「真美! でかした! おーい、勲、真美が情報を掴んだぞ!」 「よくやってくれた、真美さん。で、そこに鮫島は現れるのか?」 「メールにはそう書いてあるわ」
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