第二十一話 急襲

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「高峰、やっちまいな!」 そう言うと、大きな爆音と共に背を向けていた柱が爆散し、勲と俺は吹っ飛んだ。  煙で遮られたその先に拳銃を発砲しながら、もう一本の柱を遮蔽物として利用した。勲も十メートル程先のカウンターに隠れた。  設置前の窓ガラスがその殺風景な部屋に立てかけてあり、その反射で相手を確認できた。火傷で酷く爛れた顔でアサルトライフルを手に持つその男は、間違いなく鮫島だった。もう一人は、勲を越える体格の、まるでシロクマのようにデカい図体だった。高峰ダグラス健介と呼ばれる男だ。その大男は、打ち終えたRPGを投げ捨て、背中の機関銃を持ち出し、それを乱射した。 「勲! ヤバいぞ!」 「いいか、三つカウントしたら階段に走れ!」 そう言うと、勲は円筒状の何かを投げ、そこから瞬時に煙が立ちこめた。スモークグレネードだ。 「今だ! 行け!」 そう言うと、勲はサブマシンガンをその煙の向こうに乱射した。俺はその隙に勲の元に駆け寄り、勲の肩を抱えて階段に向かい、そのまま降りた。 「俺の事は良かったんだぞ、源治! 俺だって少しは走れる!」 「馬鹿言え! 杖ついている奴の言う事か!」 「なあ源治、鮫島が言っている事が本当なら、アジドが危ない! すぐ戻るぞ!」 そう言って勲は階段にまたスモークグレネードをいくつか投げて、それは煙玉のように瞬時に上の階の視界を遮った。
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