第二十一話 急襲

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「鮫島め……。畜生!」 ボックスカーを運転する俺から悔しさが漏れた。 「あの大男、何者なんだ?」 「勲よりもデカかったな。あれが高峰ダグラス健介だろう」 アジトに戻ったが、すっかり荒れ果てていて、もぬけの殻だった。 「クソッ、遅かったか」 「源治見ろ!」 勲が指を差すその先には、血を流して倒れている平岡がいた。 「猪熊さん、お役目果たせず申し訳ないです……」 「しっかりしろ、もう喋るな! 病院に連れて行く!」 「いや、猪熊さん、俺はもうダメですよ……。それより、真美さんと春菜さんを……」 「ふたりは生きているんだな?」 俺が聞いた。 「連れて行かれました……。チャパラ湖の畔の……」 そこまで言うと、平岡は事切れた。勲は叫んだ。 「平岡! 平岡! うああああ! 畜生! 畜生!」
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