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第二十二話 決戦の時
アジトで呆然とする中、俺のスマホが鳴った。憎き鮫島だった。
「なあオッサン! 隠れんぼをしようか! 女二人を捕らえた! 探してみな! この前みたいに遅れて来るなよ! 明日の日没に二人とも殺す! 懐かしいなあ、楽しいなあ、この感じ! 決着をつけるぞ!」
「クソッ、鮫島の野郎から電話だ。『隠れんぼをしよう』とかふざけた事抜かしやがる……。今回は場所を言わなかった……。リミットは明日の日没だ」
「源治、平岡からの言葉がヒントだな……」
「『チャパラ湖の畔』確かにあいつは最期にそう言ったな」
「メキシコ最大の湖だ」
そう言うと、猪熊はどこかに電話をかけた。スペイン語で話をつけると、俺に言った。
「漁船を買った。それで沿岸を偵察だ」
「何だって? あの湖、外周は二百キロを超える長さだぞ?」
「じゃあ聞くが、それ以外に良い方法はあるか?」
「いや、ないな……」
「その漁船にありったけの武器を積み込んで、漁師を装って偵察するんだ」
「また船乗りになるってか……。まあ、悪くねえか」
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