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勲と俺は残弾を全てそいつにぶち込んだ。が、倒れなかった、その巨体は防弾チョッキに守られていた。
その回転するバルカン砲の銃身に絶望を感じた次の瞬間だった。勲が健康な方の足をバネにして大きく踏み出した。
その一歩は、素早くその大きな体を押し出し、同時に杖の中から何かを引き抜き、それを高峰の首に振るった。その首は転げ落ち、血しぶきがその首から噴水のように噴き出して、そのシロクマのような巨体は倒れた。
「いっ、勲! 今のはいったい……?」
「隠し剣、熊の爪さ! 能ある熊は爪を隠す! なんてな!」
何と、その杖には刀身が真っ直ぐな、まるで忍者刀のような日本刀が仕込まれていたのだ。
「あーあ、ド派手にやっちゃってくれたねえ……」
振り返ると、そこには鮫島の姿があった。その両手にはそれぞれ拳銃が握られていて、その二丁拳銃はそれぞれが俺たちの頭を捉えていた。
「弾切れのところ悪いねえ。アンタら、そこそこいいセン行ってたと思うけど、もう終わりだよ。 さあ! 死ねオッサンども!」
「勲、今まで、ありがとな」
「源治、地獄で会おうぜ」
その瞬間だった。バンッと銃声が響き、鮫島の眉間から一筋の血が流れ、そいつは膝から崩れ落ちた。
「修輔とミーちゃんと……。みんなの仇!」
敵が落とした拳銃だろう。それは、微かに硝煙を纏っていた。それを構えるのは、手錠がかかった細い両手だった。春菜の眼光は鋭く、そこに一点の曇りもなかった。
「春菜……。さすが俺の子だ……」
一瞬死を覚悟して、再び生気を取り戻した俺は、無意識に小さく呟いていた。そこには、パトカーのサイレンが近づいていた。
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