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「これからは悠々自適ってわけだ、安心だな」
俺も勲の隣に立って、その水平線を眺めて続けた。
「いいか、俺たちがCIAの諜報員だって事は、真美と春菜には内緒だぞ!」
「分かっているさ!」
次の瞬間、春菜が操舵室に飛び込んで来た。
「お父さん! あれ見て! イルカじゃない? お母さんと向こうを見ていたら、見つけたの!」
「おお、久しぶりに見たな! 昔は大原の沖でも見たもんだが……。結局、海ってのは世界中繋がっているって事だな。この気持ちの良い海風も、もしかしたら、あの大原から来た風かもしれないぞ」
「何それ、お父さんもそんなポエムみたいな事言ったりするんだあ!」
「おいおい、茶化すな! 俺にだって多少の文才はあってだなあ……」
「アハハハハ!」
今度は真美がやって来た。
「ねえ源治、ブラジルでは何をするの?」
「どうするかな……。船乗りでもやるか!」
「源治ったら、結局船が好きなのね!」
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