残りのライフは1ですか?

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「2」ってもしかしてと思うまもなく幽閉され、気付けばまたもや断罪劇の中にいる私。 恐る恐る左上の頭上を見ると。やはり人型が浮かんでいて、横の数字は…… 「1!」 「ど、どうした、マリベル?」 王太子が悪役令嬢、エリノア・マクバードに今にも指を突きつけようと腕を上げたその時だった。 待って待って、1って、昨日は2だった。 「つまり、これは、残機? ってこと? ということは、残機1、ライフが残り1ってこと?……今までは幽閉されて翌日目を覚ましたら断罪劇に戻ってた。だけど、今回失敗したら、もう後はない、ゲームオーバーってことなのでは?!」 やばい! これはやばい! 繰り返しになってほとほとうんざりしてたけど、またかあ〜って感じで、まあ仕方ないか、と思ってたけど。 もしかして今日からは幽閉される日々がずっと続くの?  もしかしたら死刑もありなんじゃないの?! ぶつぶつ言って、がくりと膝をついてしまった私。 「マリベル、どうした?」 王太子が心配気に覗き込む。 悪い人ではないのか? いや、横領だっけ? そんなことする人がいい人ではないか。 横領? ホントに? あっ! そうよ! 「はいっ!」と顔を上げ手を挙げた私は、 「横領はしていません!」 と大声を上げた。今しも書類を出そうとしていたカスティバルが目をしばしば。 「すべては、取り巻き連中の仕業です!」 王太子を取り囲むように立つ取り巻きの大臣たちにぐるりと指を突きつけた。 大臣たちは一瞬、驚いて目を見開いたが、口をわなわなと震わせると、 「何をいうか!」「失礼にもほどがある!」「この小娘が!」 と全員で言うわ言うわ。 ちらりと見ると悪役令嬢は面白そうにこちらを見ている。 ったく、何なのこのオヤジ達は。 「ちょっとうるさい! 人が話すときぐらい黙って聞きなさい!」 これには王太子様も驚いたようで怪物でも見るようにこちらを見上げてる。 私は前々から感じていたのだ。 横領の罪に問われた王太子様、私も王太子様をそそのかしたとかで同じように罪に問われた。 が、そんないい思いした? 原作でもそこのところがしっかり描かれていない。ただ、悪役令嬢ものでは悪役はこっちだ。この場から退場させるそれ相応の理由が必要で。それが横領だ。 だけど、この王太子、そんなことをするぐらいなら正攻法でお金を手に入れ使うだろう。どんなに非難されようが王太子という立場なんだもの。 王様やお妃様もそれを許す。間違いない。なんせ子煩悩が過ぎるんだから。 王太子の取り巻き、何人かの大臣とその息子、みんな、美味しいことがあるからまとわりついているんだろう。じゃなきゃあ、こんな一般庶民を王太子妃にしようと思っている王太子にいい顔はしない。エリノアというきちんとした婚約者がいるんだし、その父親は王の側近とも言われる人物だ。つくならそっちだろう。
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