魔女の惚れ薬

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 佐藤くんはクラスメイトの男子数人と弁当を食べていた。教室に入ったわたしは彼のところまで歩いていく。こちらの存在に気づいた男子たちの熱を帯びた視線が心地いい。女子の嫉妬や羨望の眼差しはいいスパイスになる。 「間違って買っちゃったから、これ佐藤くんにあげる」  佐藤くんの耳元で言いながら、彼にジュースをこっそり渡した。内緒ね、と付け足して他の人に飲まれることを防ぐ。彼は鼻の下を伸ばすこともなく、あっさりとした声音で礼を言った。  ――そう余裕でいられるのも今だけよ。  佐藤くんの周りの男子たちが騒ぎはじめていた。何の話してるんだよ、二人だけってずるいだろ。  踵を返したわたしは、教室内にいる友人たちに混じりながら、少し離れた席にいる佐藤くんの観察を開始した。何してたの、と友人が問いかけてくる。わたしはテキトーに相槌を打って友人をやり過ごした。  そのうち、弁当を食べ終えた佐藤くんは甘いものが欲しくなったのか、何も知らずにわたしが渡したジュースの蓋を開け、さっそく中身を飲みはじめた。
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