魔女の惚れ薬

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 友人たちの会話もそこそこに、わたしは佐藤くんの変化を確認するため、こっそりと彼の方に視線を巡らせる。  すると、ジュースを飲んでしばらくしたのち、佐藤くんの顔に赤みがさした。彼は何かを確かめるかのように何度もジュースを口に運んでいく。かなり効き目があったに違いない、とわたしはほくそ笑む。  やがて、彼が勢いよく席から立ち上がった。それから、真っ直ぐにわたしの方に歩いてくるではないか。  きた、とわたしは胸を高鳴らせた。 「ちょっといいかな」目の前にきた佐藤くんが神妙な顔で言った。  わたしは頷いて、佐藤くんとともに教室を出る。その間際、男子や友人たちが何事かと騒がしくなったが、わたしはあとで報告するねと言って場をおさめた。  屋上へ繋がる階段の踊り場。  そこでわたしは佐藤くんと向かい合っていた。組み合わせた両手を下げながら、上目遣いに。告白を健気に待つ女の子を装う。  さあ、佐藤くん、わたしを好きになったと言って。わたしに屈服したことを証明してみせて。 「すごく気持ちが伝わってきたよ」  佐藤くんは静かにそう切り出した。 「あれが君の本心だったんだね」
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