あと一回

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あと一回

 「チャンスはあと一回です」どこか楽しげに声は告げた。 「やっぱりこれ、無理ゲーじゃない?」  ぼくが不服そうに振り返ると、ガブリエルは手の石板に何か書き込みながら、鼻で笑う様に返した。 「そりゃ七の七乗倍近くこの結果じゃね」  ぼくはため息をついて、 「ほんとにあと一回?」と訊いた。 「これはルールですから」  ガブリエルは取り合わない。 「ミカエルは?最近見ないけど」 「四人の騎士達と会議が立て込んでるそうです。最近忙しいようで」 「ふうん」  ぼくは手元にある幾つかの球体と、水と、小さな岩石を気まぐれに並べ直してみた。 「最初の七日間は問題ないじゃん?光よ、あれ!」  球体と、水と、小さな岩石が融合して混ざり合って、「世界」のうちの「天と地」を作り出した。ここまでは容易だった。それこそ、もう七の七乗回、このくだりは繰り返しやっている。 「うり。うりうり」  出来上がった「世界」を両手で小突いたりこねくり回したりしていると、海が出来て、雨が降って森が出来、ついで動物が生まれた。 「真面目にやってください」  背後で咳払いと共にガブリエルが忠告した。
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