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「世界」はこの時、地球連邦政府を創設した。そして発展途上国や少数民族もひとつの地球市民として迎え入れ、一番厄介だった大量殺傷兵器も封印した。更に難所だった「核」を放棄してしまった。
そこに優しい笑みを浮かべたラファエルが入ってきた。ぼくはふと、気になった事を訊いてみた。
「……変な事してないよね?『癒しの力』とか使ってない?ヒーリング的な」
ラファエルは意外そうな顔で言った。
「まさか。これこそ、神の御業でしょう」
「ほんとに?」
ラファエルは柔和な表情を崩さない。
ぼくはもう一度「世界」を見つめた。
多くの動物も人も死んで、沢山の生き物が苦しんでいたけれど、ひょっとすると平和が訪れて、それは全宇宙へと広がって、「世界」が美しい完成品になるかもしれない。ラスト一回のチャンスにして、遂に。
もう少しこの「世界」を見守っていよう。ぼくはそう思った。
(おわり)
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