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今、俺の目の前には高い高い山がそびえ立っている。
「私を攻略する気か?小童めがっ!!」
そんな声が聞こえそうな存在感に、俺は一瞬たじろいだ。
この山の名前は「チョモランマ」
俺が挑むべき高難度の山だ。
少し気圧された俺は、チラッと隣にいる相棒を見た。
相棒の前にも高い山がある。
その高さは俺の前にある山よりもオゾマシイ姿をしていた。
相棒が挑むその山の名前は「エベレスト」
俺と相棒は視線を交わして頷きあうと、同時に攻略を始めた。
俺は山の頂上から地上を目指して下山を始めた。
まず茶色の岩々が俺を襲った。
一つ一つ進む中、さらに溢れんばかりの水流が俺を溺れさせようとする。
しかし、俺たちを舐めてもらっては困る。
むしろこの激流の勢いに乗って先へと進んでいく。
あっと言う間に俺は三割程の攻略に成功した。
このまま進もうとする俺の前に、岩々の中から真っ赤な塊が現れた。
これはヤバい!
俺は咄嗟にこの赤い塊を地上へと転がして避けることにした。
そして俺はようやく岩エリアの攻略に成功。次のステージに足を踏み入れた。
次のエリアは、キツネ色をした楕円の物がいくつも重なる場所だ。
楕円は直線の綺麗な切れ目があり、まるでクレバスのように俺が足を滑らすのを待っている。
俺は慎重に楕円を越えていく。
しかし、俺はここで動けなくなった。
あんなに順調だったのに、俺の体が前に進むのを躊躇っている。意識は前に向いているのに体が拒否反応を示す。
くそっ!まだだ、まだやれる!!
俺は歯を食いしばり、体を揺すり、楕円に挑んでいく。
俺の隣では、相棒が額に汗を掻きながらも懸命に山を攻略していた。
負けられない戦いが、ここにはある!
俺は相棒に勇気を分けてもらってさらに進んでいった。
楕円を越えた所で、俺はついに深い焦げ茶色をしたマグマの海に到達したのだった。
ふうっと一つため息を吐き出すと、俺は意を決してマグマにつっこんだ。
!!?!?!
俺は悶絶して動けなくなってしまった。
ここに来て、このような罠があるとは。
卑怯なり!! チョモランマ!!
俺はここで、少しも動くことができなくなってしまった。
ピー ピー ピー
セットされた時計から終了を告げる音が響く。
こうして俺は、意にそぐわない形でリタイヤすることになってしまったのだった。
(次項に続く)
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