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二回目のパスワードは男の誕生日を入力してみる。
『ボクは10月4日に生まれたんだ。天使の日だよ』
気持ち悪い声で囁いて、悪魔の間違いだろと唾を顔面に飛ばしたことを思い出す。
1004
パスワードが間違っています
「あと一回でロックがかかる」
ロック制限が厳重だなんて、私以外にもそういう行為をしたのではと鳥肌が立ち、胃がムカムカする。
*
【野呂さんを起こしたら?その方が早いわよ】
母から再び届いたメッセージに大声を出しそうになる。
(お母さんがやればいいじゃん!!)
こういう人をなんと言うんだろう?けど、私のことを案じて第三の男の住居を逃げ場に教えてくれたのだから、まだ家族としての自負があるのだろうか。
「がぁ!!」
真ん丸い腹が同じリズムで、上下している。この男は睡眠時無呼吸症候群だったことを数秒後に思い出しほっと安堵する。
「あと一回」
思い出したくもないあの男との会話の中にヒントがあるはず。
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ロックが解除されました
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