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目覚めた男
目を覚ましたボクは刑事に囲まれていた。泉ちゃんから久しぶりに会いたいと言われて浮き足立っていた気持ちが冷めていく。
「野呂健太郎。不同意行為で逮捕する」
ボクの太い腕には冷たい手錠がかけられていく。その部屋にいるはずの泉ちゃんがいない。
「彼女も同意の上で」
「彼女とは誰のことですか?」
キツい視線で睨んでくる女刑事がボクのスマホ画面を見せつけてくる。パスワードが解除されている。表示されている画像はどれもいい思い出なのに・・・
思わずニヤリと笑うと、囲んでいた刑事たちから怒号が飛ぶ。
「ニヤニヤ笑うな!!」
「罪は増えていく。それだけ泣かされた少女がいること忘れるな!!」
「わかってますよぉ。けど、嬉しかったんです」
三回目のパスワードを泉ちゃんが解いたことに嬉しくて笑っている。
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