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「あと一回、次でハネるから!」
それで次の動画で、アイツは屋上から跳ねた。
動画は確かにハネた。でもアイツは地べたにこびり付いて取れない有り様だった。アイツの葬式には私と先生と学級委員だけが来た。
アイツの棺のドアを開けたら、顔だけは眠っているように穏やかだった。
気がつけば、私は呟いていた。
「あと一回、次は飛べよ。」
その意味が分かられることはないまま、私は式場を後にした。
規制線をくぐるなど容易い。
私は屋上にきた。そしてアイツの棺にあった分からちょろまかした煙草を取り出した。迷惑料として、勝手にもらうことにした。
私は口に咥え、火をつけた。馴染みのない煙が体中に行き渡り、私は目を閉じた。
ああ、せめて、21グラムだけでいいから、その分だけは雲の上まで飛んでほしい。
私は屋上で煙草を初めて吸ってむせた。
煙は高く高く飛んでいった。
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