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1.都市伝説の始まり
高校ってさ、要は学力だけが似通ってる奴らが集まってるだけの、寄せ集めによる居場所でしかないんだよな。
俺たちは学力と、住んでるところが近いだけ。別に同じ学校だからって、そいつらと絶対に気が合うとか、これから長く付き合う親友になるとか、必ずしもそんなことはありえない。むしろ学力が似ているからこそ、ちょっとした努力の差とかが大きく、ハッキリ見えることの方が多い。一度ずれたら、亀裂みたいにどんどん大きく広がっていく。こいつらとは絶対に気が合わないだろうなってことなんかが、結構くっきりとわかったりするんだ。
例えば、中学から変わらないメンバーとつるんで、中学と変わらないテンションでイキってる奴ら。そもそも小学校のときからその面子が変わっていないんだから、ノリも小学生レベルで結構キツい。でかい声で騒いで、自分たちだけが楽しければ良いって考えしかないから、周りのしらけた目とかどうでもいいらしい。
それから、高校デビューだかなんだか知らないけど、急に性格が変わったようにそういうオカシなグループに入りに行って、失敗してる奴とか。元々大人しくて口数も友だちも少ないくせに、無理してノリを合わせているから見ていて痛々しい。身内に甘いだけの奴らだから、案の定そいつはパシリに使われたりわざとハブられて恥をかかされたりと、まるで自分からいじめられに行ったような、残念なことになっている。
残念なクラスに入ってしまったと思ったが、合わないんならそいつのように無理して合わせることなんかない。適当に話を合わせながら、表面だけは波風立てないようにして、いっそ一人でいた方が賢いと思う。そういう大人な付き合い方も、高校生にもなったんなら学ぶべきだと思ったし、少なくとも俺はそうしてた。
見ただけで分かる面倒くさいのとは関わらない。関わらなきゃいけないときは、愛想はよくして最低限のやりとりで。自分でも、そういうのは上手くやれてると思っていた。だからこそ、そういうわかりやすい面倒ごとに、自分だけは絶対に巻き込まれないのだと自信も持っていた。
「だからさ、見たんだって。牧の父親」
「……は?」
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