看病

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 「誰だ、寝ているワシを叩き起こしたのは」 魔王は召喚魔法で魔族医師会トップの医者を召喚した。医者は水玉模様のスリーピングハットをかぶっていた。どうやら日曜は朝寝坊するタイプらしい。 「魔王だ」 あの冷たく鋭い目で水玉模様のスリーピングハットをかぶった魔族医師会のトップの医者をにらみつけた。 「ひ、ひ、ひぃー。どうか命だけはお許しを」 水玉模様のスリーピングハットをかぶった魔族医師会のトップの医者は眠気がすっとんだ。 「息子を見てほしい。熱が380℃あるのだ」 「380℃?38℃の間違いでは。だいたい380℃まで測れる体温計など」 「ある」 魔王は魔王家代々伝わる体温計を渡した。 「本当だ」 水玉模様のスリーピングハットは納得した。38.0と380を読み間違えているのではないか、魔王はアホなのではないか疑惑は解消することができた。 「ま、意識もしっかりしており、痙攣もしていない。下剤で熱を下げるから、あとはゆっくり休ませれば大丈夫だ」 「薬をくれるのか、ありがたい」 「では、ちょっとオムツを」 スリーピングハットはラリエルのオムツを脱がそうとした。 「待て、何をする」 魔王は我が子の危機に急いでスリーピングハットの首をつかまえる。 「ま、魔王様、下剤です。」 スリーピングハットは足をバタバタさせている。 「下剤?」 魔王は急いで「下剤」と検索する。 「・・・。よかろう」 子育てとは未知の連続である。魔王は賢さが1あがった。 魔王はスリーピングハットをおろし、ラリエルに下剤をいれてもらった。 「それにしても朝だというのになぜ貴様はまだそんな恰好なのだ」 水玉模様のスリーピングハットにパジャマの医者を改めて眺めた。 『魔王が日曜の朝っぱら、いきなり召喚なんかするから』 とは言えない。 「近頃、緊急じゃないのに救急車を使う者が多すぎて、医者はみな疲弊しているのです」 スリーピングハットは少し訴えてみることにした。 「なるほど、俺様のようにみんな召喚魔法を使えるわけではないからな」 召喚魔法は論外とはもちろん言えないスリーピングハット。 「だが、しかし子どもは夜に熱をだし、日曜に体調を崩すのだ。緊急かどうか、簡単にわかって、薬が簡単に手に入ればよいのだが」 そこで魔王は電話医療相談窓口を作った。ペリカンバードを使った薬の即時配達制度を作った。  魔族の医療問題が解決された。魔族の健康寿命が3年延びた。 冒険者A「なんだか最近魔族多くね?」 冒険者B「しかもなんか肌ツヤがいいぞ」 人間は不用意に魔族の集落に近づかなくなった。
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