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ペット
「することがない」
魔王とラリエルは飽きていた。魔王城の中だけでは限界がある。かくれんぼもしたし、氷鬼もした。次は何をすればいいだろう。
「やむを得ない。動画でも見せるか」
動画の見せすぎは良くないとユリアが言っていたが、そうも言っていられない。魔王はラリエルに子どもが好きそうなドラゴンの動画を見せた。
「ドラドラ!」
大興奮のラリエル。魔王はその間に奪われた砦の報告書に目を通す。
「ドラドラ」
ラリエルは夢中である。
「ガオー!」
ラリエルは口から炎を出す。
「ガオー!」
ラリエルは口から竜巻を出す。
「ガオー!」
ラリエルは口から吹雪を出そうとしたところで、魔王は動画を消す。
報告書が燃やされそうになったからではない。屋根がふっとびそうだったからではない。
「やはり俺様が相手しないとな」
魔王は動画にやきもちをやいていた。
「ラリエルはドラゴンが好きなのか?」
「がおー!」
あどけない顔でドラゴンの真似をするラリエル。キュン死寸前の魔王。
「それなら俺様がドラゴンを捕まえてやろう」
本物のドラゴンを呼び寄せれば、ラリエルは魔王へ尊敬の眼差しを向けるであろう。動画に勝つことができる。
魔王はもふもふドラゴンを召喚した。虹色のもふっとした毛で覆われたドラゴンは気難しいことで有名だが、肌触りが最高である。
「もふもふ~」
ラリエルともふもふドラゴンは仲良くなった。魔王はもふもふドラゴンをペットにした。
冒険者A「最近やけにドラゴンが多くないか?」
冒険者B「西の魔王城の空だろ?あの数はやばい」
冒険者A「おっかないよな。これじゃますます魔王城に近づけないな」
魔王城の守備は鉄壁となった。
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