モラハラ気質

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モラハラ気質

 ことの発端は魔王の妻、シュリアの家出である。 「あなた!いっつも家の事ほったらかしで、仕事仕事仕事。たまに早く帰ってきたと思ったら、部下を連れてきて肉だ酒だの大宴会。あなた、自分の息子の顔見たことあるの?名前覚えてる?この子は絶対あなたの事なんてわかってないからね!自分の息子にすら覚えてもらえないで、何が魔王よ!」 陶器のような白い肌のがあのメケメケマグマ(※1すごく熱い)のごとく真っ赤に頬をそめている。普段はカナリアのように美しい声もセンジュウライオン(※2千の獣の王という意味でつけられた。かなり強い)の雄たけびのよりも音量があった。 「貴様、誰のおかげでここに暮らせていると思っているのだ。俺様が仕事をすることで、世界の平和が保たれているのだ。」  ただ、それで引き下がる魔王ではない。図星を突かれたのを隠すため、テーブルを勢いよく叩いてごまかそうとしたが、力加減を間違え、テーブルが地面はおろか、地中深くのメケメケマグマの源泉までめり込み、マグマが噴射。間一髪でシュリアがよけたものの、実家に帰ってしまったのだ。最愛の一人息子を置いて。
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