装備

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 魔王は身に着けているものもやはり魔王だ。背中には先祖代々伝わるどんな魔法も跳ね返す漆黒のマント。どんなものも貫通してしまう光線をだす、伝説の一角獣のツノがついた冠。そして、灼熱の温度を放つ故、選ばれし者しか触ることができないが、持ち主の魔力を増大させるルンルンルビーの首飾り。威厳に威厳を重ねた風貌ゆえ、城内で仕えるものですら、恐れ多くて顔を上げることができなかった。  だが、しかし、2歳児には通用しない。がんがん来る。遠慮と容赦はない。 「これ、ラリエル。俺様のマントで手を拭くでない」 漆黒のマントにラリエルの小さな手形がついた。魔王はマントを脱いだ。防御力が500下がった。 「かたぐるまー」 じゃれるラリエル。魔王に肩車をしてもらうのが大好きなのだ。肩車をしてもらうと、手は魔王の頭の冠のツノが取っ手としてちょうどよいらしい。体重2トンあるラリエル(※見た目は普通の2歳児より少し小さいくらい)を肩車することは苦でないが、冠に触るのは話が別だ。 「一角獣のツノにむやみに触れるでない。お前の顎が貫通するかもしれんぞ」 魔王は冠をとった。攻撃力が100下がった。 「きらきらー」 「あっちっちだから、さわっちゃだめだよ」 魔王は首飾りをとった。魔力が1000下がった。  魔王は今、ユリア手作りの綿100%エプロン(モモノフライオンのアップリケつき)をつけ、頭にはおそろいの三角巾、首にはラリエルと一緒に作った折り紙のネックレスがついている。 メイドA「魔王様って意外とチャーミングなのね」 メイドB「笑った顔なんて素敵よ。ギャップ萌えね」 メイドA「今晩の晩ご飯のおかず1品増やしましょう」 最強魔王、メイドの好感度が10上がった。体力が1あがった。  ちなみに装備に頼らなくなった魔王は育児の隙間時間にトレーニングを始めることにした。のちに防御力が1000,攻撃力が2000、魔力が10000上がることとなる。
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