決意

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決意

 魔王は反省していた。今までラリエルの世話をしてこなかったことを。魔王は疲れていた。育児がこんなに大変だとは思ってもみなかった。魔王はシュリアに会いたかった。会いたくて、会いたくてしかたがなかった。会いたくて会えなくて震えるあまり、魔王城の攻略ルートである地下道が壊れてしまった。これにより勇者の魔王城攻略がさらに難関を極めることとなる。  シュリアに会いたい魔王。自分の罪もわかっている。けれど魔王は謝ることができなかった。だからせめて、シュリアが帰ってくるまでに間、完璧にラリエルを育てようと心に誓った。シュリアが帰ってきたら、もっとシュリアとラリエルの時間を大切にしよう。シュリアをもっと労わり、一緒に二人の大切な息子を育てようと。ユリアが帰ってきた時に、変わった自分を見せるのだ。 「がんばるぞー」 雄たけびとともに、星を一つ、破壊してしまった。 魔族の若者A「あ、流れ星だ!」 魔族の町娘B「願い事しなくっちゃ」 魔族の若者A「何願い事したんだい?」 魔族の町娘B「好きな人が振り向いてくれますように」 人間の子ども「ママ見て、流れ星だよ」 人間の母親「まぁ、それじゃ願い事しないとね」 人間の子ども「僕、ママと結婚できるようにお祈りする」 魔族も人間も、幸福度が上がった。
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