両立

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両立

 魔王は、父親業と魔王業、二足のわらじを履くことにした。魔王には両立の秘策があった。それは瞬間移動魔法。これを使えばすぐに駆け付けることができる。余裕である。 「魔王様、今新しい勇者がマズサイショノ砦に向かっているようです」 砦を任しているモモンガミサンガが慌てている。 「そうか、それでは少しばかり挨拶に行ってやろう」 「わざわざ魔王様が出向かなくても大丈夫ですよ。やつらの実力は魔王様と比べたら月とミジンコ。この私にお任せください。」 魔王が行くとわかるや否やモモンガミサンガはさっきの慌てようとは嘘のように胸をはる。 「いや、実力差を見せつけることで戦意喪失させれば、無用な戦いを防げるであろう」 最強魔王、意外と平和主義。 「さ、さ、さすが魔王様。どうしていつもでしゃばるのか、部下を信用していないのか、出たがりなのか、どっちなのかと思っていたら、そんな思惑があったとは。お心遣い感謝いたします。」 割と失言の多い部下である。
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