1,カナダの小悪魔

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 前から二番目を走る茶髪の少年、ジェレミーが、いっちょまえにサングラスをかけて、一番前を走るブロンドの髪の少年ラニーに、声をかけた。 「見つかっちまったよ相棒!!」 「問題ねえ!!」  ジェレミーの自転車の後ろに乗る赤毛の少女、ギャビーが、窓からこちらを見ているスミス氏を指さして叫んだ。 「一時の方向、サンタクロースを発見!!」 「それも問題ねえ!!」  三人の後をエルムの人々がぞろぞろと追いかけてきていた。 「おっと…バイクで来てるヤツもいるよ」  一番後ろのギャビーが振り返りながらまた叫んだ。 「前からも来てる、挟み撃ちだ」  この道はこのまま一直線。前と後ろからエルム人(彼らがエルム・ストリートの人々を呼ぶ時に使う名称)に挟み撃ちされる状況。最前列のラニーは考えた。このま逃げ切る方法を。  学校のテストの時は微塵も動かないラニーの脳みそが、今この一瞬のうちに学年の数十倍働いているだろう。
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