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本編
あなたの代わりに、愛されている。
よく降る雨だと思った。
さっきから窓を濡らす雨の粒を
彼の腕の中で見つめている。
ベッドに沈み、寝息を立てる彼。
僕にしがみつき、穏やかに微笑んで。
「川瀬、苦しいって」
と息を漏らすように笑ったら、
不意に目から一筋の涙。
身体の前に絡む彼の腕にそっと触れ、
溢れてきそうになる涙を堪えた。
ずっと望んできた幸せな時間。
でもこれは、
無条件に手にするべきものではない。
あの人は今、どこにいる?
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