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「あら。
じゃあ、綾都、見合いのとき、寝ぼけてて、相手の顔もうろ覚えだったみたいだから。
自分が見合い相手だとか、嘘ついてみればよかったのに」
「その手があったかっ」
「いや、無理でしょう」
カメラを手に、自分が撮った写真を確認しながら、浜子までが冷静にそう言った。
「ところで、あそこ、なんかモテモテの人がいるんだけど」
と蘭が違うテーブルを見ながら言う。
「見た目は、そこそこ格好いいくらいなのに、なんでかしらね?」
と首を傾げる蘭に、美鳥が教える。
「ああ、あの人、占い師らしいですよ。
ただで占ってくれるらしいです」
なんですってっ、と蘭は走っていった。
女子の輪に突撃を食らわせ、あっという間に、占い師の一番近くまで行っていた。
「……あの積極性、見習いたい」
と美鳥は呟く。
いつもなら、一緒に突進していっているであろう浜子は、まだ写真を見ながら、うんうん、と適当に頷いていた。
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