無法者の大地 - 山神の誓い - (外伝3)

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 ヤマガミは律儀にも上半身を起こして、頭を下げようとする。 「おい、無理するな。まだまだ安静にな」  幹部たちは、ヤマガミと剣士のやりとりをハラハラしながら見守っている。 「おい、お前たち、どうした? 神妙な面並べやがって! いつもの元気はどうした?」 「へい、それがですね……」  幹部を代表して狼男が、ヤマガミが毒で倒れてからのいきさつを話し始めた。  狼男の報告を聞いて、バルマン勢が壊滅した(くだり)は喜色を浮かべていたものの、徐々にヤマガミの顔色が変わっていく。  部屋にいた幹部たちも改めて身を固くする。  ニヤついているのはウトゥだけだ。 「……どうりで、先生は凄かったわけだ。完全に負けたよ。それなら、落馬した俺様を助けたりせず、そのまま放っておけばよかったんだ。そうすれば、何をしなくてもこの砦は消滅していただろ……」  ヤマガミは自嘲を交えて、皮肉った。 「阿保う!」  それはびっくりするくらいの大声だった。 「貴様の下には何人の家族がいると思ってるんだ! それを背負っていたから、皆がついてきたんだぞ! 貴様はバルマンと同類か!」  ヤマガミが息をのんだ。周りの空気が張り詰める。 「ち、ちがう……。俺様は、彼奴みてぇに腐っちゃいねぇ……」  ようやくそれだけを言った。 「その言葉、これに誓え」  イカルはヤマガミの目の前に手を差し出した。
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