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 特に喧嘩をした訳ではなかった。ただ、お互いに就職活動で忙しかっただけ。 「由美」  敏志が、何か話したそうにしていたことに、気付いていたけど、 「ごめん。今、無理」  エントリーシートに書く内容を吟味していた わたしは、彼の話を聞かずに断った。  そういったことが何度か続いたと思う。  幾つかの会社から内定を貰い落ち着いた頃、 「そう言えば、話、なんだっけ?」  わたしは、ようやく敏志に話を聞いた。  だけど、 「もういいよ」  敏志は投げやりな言葉を残して、わたしの部屋を出て行った。
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