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 登山道は、始めは灘らかだったけど、登るに連れて険しさを増していった。  大きな岩がある場所も有り、よじ登るようにして岩を乗り越えなければならなかった。  わたしが困っていると、 「ん」  彼が手を差し伸べてくれた。 「ありがとう」  礼を言って彼の手に掴まる。  わたしは、久し振りに彼の身体に触れた。  久し振りに触れた彼の手は、しっとりと温かかった。
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