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「後少しだから」  彼はリュックからハンドタオルを出して、わたしの涙を拭いてくれた。  わたしはコクリと頷くと、再び彼と手を繋いで歩き始めた。  彼に謝ることが出来て、少し泣いて、すっきりした。  山頂までの数十分間、恐らくこれが、わたしと彼の最後のデートだ。  わたしは、繋いだ手の温もりが愛しくて、手離したくなくて、握る手に僅かな力を込めた。
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