終わらない迷宮の中で

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サラはすぐに「ニューロブレード」を取り出した。 この特殊なブレードは、直接神経回路に働きかけ、デジタルとアナログの境界を超えて、意識の流れを断ち切ることができる。これを使ってエミリーの接続を切断しようとしたが、サラとの間にシールドが展開された。 サラは、最後の切り札を使うことを決意した。「量子ディスラプター」――この装置は、時間と空間の境界を一瞬で崩壊させ、全ての物質を量子レベルで分解する、究極の破壊兵器だった。サラはこれを発動させることで、格納庫内の敵全てを無に帰すことができる。 しかし、それは同時に、エミリーや自分自身も巻き込む危険があった。彼女は一瞬の逡巡の後、量子ディスラプターの設定を変更し、対象を格納庫全体ではなく、シールドと機械のみに限定した。 ディスラプターが作動すると、機械は急速に分解され、エミリーを縛るケーブルが消滅した。サラは瞬時にエミリーの元に移動して抱きかかえ、最後の一山を越えるべく、脱出への道を急いだ。しかし、崩壊が始まった格納庫内で、彼女たちの前にはさらに困難が立ちはだかった。道が次々と閉ざされ、出口は見えない。
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