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それでも、サラには他に選択肢がなかった。
装置を起動し、自分とエミリーの身体を次元の狭間へと送り込んだ。周囲の景色が一瞬にして歪み、空間のすべてが淡い霧に包まれた。
敵の銃弾は彼女たちの周囲を通り抜け、無意味に消え去った。しかし、次の瞬間、サラは異変に気づいた。位相シフトによって、二人は未知の空間に投げ出されていた。そこはまるで宇宙の果てのように暗黒に包まれ、何も存在しない虚無の世界だった。
時間も空間も失われたかのようなその場所で、サラは冷静さを保ちつつ、装置の設定を再調整しようと試みた。サラはこの次元の理を理解しようと分析を続け、現実の次元へ戻るための計算を開始した。
しかし、その空間はまるで彼女の行動を妨げるかのように、次第にエミリーの姿が淡くなり始め、サラの手元から遠ざかっていった。彼女の心は再び絶望の淵に追い込まれるが、ここで諦めるわけにはいかなかった。
「エミリー、私を信じて」
サラは必死に呼びかけ、装置の微調整を続けた。サラの脳裏には、これまで乗り越えてきた数々の困難が浮かび上がり、そして、それを乗り越えるたびに生まれた確信があった。
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