終わらない迷宮の中で

「私はどんな山も動かせる……たとえ、それが時間や空間であっても」
彼女は自分に言い聞かせ、指先に全神経を集中させた。

ついに、サラは元の次元に戻るためのエネルギー波動を見つけ出した。サラはフェーズシフターを最大出力に設定し、次元を超えて現実世界への扉を開いた。その瞬間、視界が明るく開け、二人は元の世界へと引き戻された。

現実の次元に戻ったサラとエミリーの前には、先ほどのエージェントたちが再び待ち受けていた。だが、サラはもはやためらうことなく、すぐさま反撃に出た。彼女はフェーズシフターのエネルギーを利用して、逆にエージェントたちを異次元へ送り込むことで戦闘を回避し、その隙にエミリーを安全な場所へ導いた。

しかし、フェーズシフターのエネルギー残量がわずかであったために、別次元への移送が浅かった。

エージェントたちは次々と元の次元に戻ってきて、再び攻撃を仕掛けてきた。彼らの執念深さは異常で、まるでサラたちを追い詰めるために何度でも復活するゾンビのようだった。

サラは敵の攻撃をかわしつつ、彼らを完全に無力化する手段を模索していた。そのとき、彼女は思いついた。「データ・イレイザー」を使うことに。