終わらない迷宮の中で

「データ・イレイザー」は、すべての電子デバイスに保存された情報を瞬時に消去する装置で、物理的な存在すらもデジタルデータとして取り込んで削除する能力を持っていた。

ただし、これを使用すれば、周囲の電子機器もすべて無力化され、サラの手持ちの装置も使えなくなる危険があった。しかし、今こそすべてを終わらせるときだとサラは考えた。

サラはデータ・イレイザーを起動し、敵エージェントたちが持つすべての武装とデバイスを無効化した。装置が放つ強烈なエネルギーが周囲を包み込み、彼らの武器は次々と無力化され、エージェントたち自身も電子の海に溶け込むようにして消えていった。サラはその場に立ち尽くし、静かに装置のエネルギーが尽きるのを待った。

エージェントたちが消え去った後、あたりには不気味な静寂が広がった。サラは息を整え、エミリーを再び抱きしめた。ついにこの戦いの終わりを迎えたのだ。

しかし、データ・イレイザーの影響で、サラの装置もすべて機能を停止していた。もはやサラはどんなテクノロジーも使えず、ただ二人で生還する道を探すしかなかった。